ラーメンフレーム
エンジニア: 山田憲明構造設計事務所
用途: 住宅等の小規模建物の水平耐力要素
使用部材
柱材: ディメンションランバー204~212
梁材: ディメンションランバー204~212
接合具: 釘、ビス
適応階数: 1~2階建て
間口の狭い敷地では細長い平面形状になりやすく、かつ道路側に採光のための大きな窓を設け、室内の部屋も間口幅一杯に確保するような計画が一般的である。このような平面計画で問題になるのが、短手方向の水平力(地震、風)に対する水平耐力要素をどう確保するかである。木造では水平耐力要素を一般的には耐力壁にするが、このような平面計画では、短手方向の水平力を負担できる十分な量の耐力壁を配置することが難しいことがよくある。
木造はRC造や鉄骨造と逆で、耐力壁形式が一般的でラーメン形式が特殊とされる。木造ラーメンが特殊とされるのは、柱と梁の接合部でモーメントを効率よく伝達できるモーメント抵抗接合をつくるのが難しいとされているからである。なぜなら、柱梁接合部では、木材の繊維方向が直交して取り合うことと、組み立ててつくるために隙間によるガタが生じやすいからである。
このような背景のもと、ディメンションランバーを用いたラーメンフレームを考案した。ディメンションランバーの2インチ材は幅広で薄いという寸法的特徴を持つことから、柱と梁を複数枚の2インチ材で構成し、それらを交差させてできるパネルゾーン部にビスを打つことでモーメント抵抗接合をつくるものである。接合面積を広く確保できるためビスを多数打てることに加え、多面せん断による効率的な応力伝達が可能になる。このラーメンフレームを910~1000㎜程度の間隔で並べることで、短手方向の水平力を負担させる。
この構造の課題は柱の座屈である。柱の構成部材が38㎜厚のディメンションランバーであるため、柱の圧縮軸力や曲げモーメントによって弱軸方向に座屈しやすくなる。これに対する解決方向は複数考えられる。例えば、2インチ材間の38㎜の隙間に、同じく2インチ材の飼木を挟み、ビスや接着剤等で止め付けて、柱を合成化する方法がある。あるいは、隣り合うフレーム同士を桁で連結して構造用合板を張ることで合板耐力壁を構成し、直交方向となる長手方向の水平力を負担させるとともに、柱の弱軸方向の座屈を抑える方法もある。