カナダの森林資源の概要

世界の森林の9%にあたるカナダの森林は、3億6,700万ヘクタールの広大な土地を占めています。森林の92%以上は公有林で、持続可能な森林経営の方針に沿って厳格に管理されています。多様な森林資源に富み、2022年のカナダの総立木の蓄積量は502億立方メートルと推定されています。

カナダは世界有数の林産物供給国で、2021年には1億4,730万立方メートルを超える産業向け丸太が伐採されました。日本に出荷されるカナダの林産物のほとんどは、カナダの最西端のブリティッシュ・コロンビア(BC)州とアルバータ州の2つの州から産出されています。BC州とアルバータ州を合わせると、カナダの木材生産の約59%を占めています。2021年のBC州とアルバータ州の産業向け丸太の総産出量は、それぞれ5,848万立方メートルと2,965万立方メートルに達しました。

カナダ西部の森林

カナダ西部に位置するBC州とアルバータ州は、北緯49度から60度の北海道よりも北の高緯度に位置しています。太平洋沿岸を北上する暖流の影響で比較的温暖な気候に恵まれ、カナダの針葉樹蓄積の約60%がこの西部地域に生育しています。

カナダの西部地域の森林は、BC州の沿岸地域と、それ以東のロッキー山脈を越えたアルバータ州に至るまでの西部内陸地域とで大きく林相を異にします。沿岸地域では温帯針葉樹林が広がり、ダグラスファー、ウェスタンヘムロック、イエローシダー、ウェスタンレッドシダーといった、日本と似通った林相の樹種が数多く生育しているのが特徴です。そしてBC州沿岸部林産物の日本への輸出は、100年前の1923年から始まりました。

一方、西部内陸地域では、海からの湿った空気が山脈を越えるときに雨や雪となって降り落ち、内陸性の乾燥した気候となるとともに、高緯度であるため冬場の寒冷な気候により、森林の植生は亜寒帯針葉樹林となります。日本の北海道に似た林相を呈し、この地域で主に生産される樹種は「SPF」(スプルース・パイン・ファー)と総称されています。日本に出荷されるSPF輸出の約70%はBC州内陸部から出荷され、残りの30%はアルバータ州から出荷されます。アルバータ州には広大なアスペンの森林もあり、現在、日本に出荷されるオリエンテッドストランドボード(OSB)のすべてをこの地域から供給しています。