About Us

カナダ林産業審議会(COFI: Council of Forest Industries)本部はカナダ ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市にあり、カナダ西部の林産企業の大半を代表する非営利団体です。1974年にCOFI日本事務所が開設されました。一方、「カナダウッドグループ(CWG: Canada Wood Group)」はカナダの林産物に関する貿易団体連合で、カナダ連邦政府関連の組織です。アジアとヨーロッパにおけるカナダ産林産物の普及促進活動を行っています。COFIの海外での活動はこのカナダウッドグループ傘下で行われています。COFI/カナダウッド日本事務所はカナダ産構造用木質製品をメンバー企業の意向に沿って普及促進活動を行っています。カナダウッド日本事務所はAPA エンジニアード・ウッド協会も含まれており、カナダ産エンジニアード・ウッド製品の普及活動も担っています。また、BCウッドとケベック木材製品輸出振興会(QWEB)もカナダウッドグループのパートナーです。

What We Do

COFI日本事務所の使命は、持続可能な森林から産出されたカナダ林産製品を日本市場の構造材料として普及させ、市場参入支援を行い、中層木造建築、マスティンバーおよび商業施設などの新しい分野での需要に対応することです。

主な活動内容は:

  • 設計事務所、ビルダーおよび木材市場関係者向けにソーシャルメディア、セミナーなどを通じて情報提供を行う
  • 次世代の木質構造を視野に入れた研究開発を行い、中層木造建築、非住宅建築物およびマスティンバー建築の需要に対応する
  • 日本の研究機関、大学および建築関連団体と連携して技術開発に取り組み、木質構造の技術革新をすすめる。因みに、カナダウッド日本事務所は、これまでに53件の国土交通大臣認定を取得してきた(共同取得を含める)
  • 日本の建築物にカナダの木質構造材料を利用するための技術情報を提供する
  • カナダの木質材料を利用した新しい建築物を支援する。その際、建築技術を熟知し、カナダの構造用木質材料を供給する体制を整えた設計者、ビルダーおよびディベロッパーを紹介する
  • 国際的な協力や情報交換を推進する。その際、建築基準、材料規格、建築および通商行政に関する政府間協議や専門委員会において有益な情報を提供する

Diversity & Inclusion

カナダウッド日本事務所は職員の雇用においては、多様性を支持し、組織全体を通じて男女の平等を重要視しています。健康的で安全で統合的な職場を提供する努力を惜しみません。職員が互いを尊敬していることと、多様性は組織の強みであると考えています。

COFI Japan History & Milestones

COFI日本事務所は1974年に設立され、カナダ産木材の市場拡大に取り組んできました。日本の高度経済成長期には、入手しやすい上質な住宅の需要も高度に成長していました。そのような時期、COFIは日本の行政担当者と連携し、北米のツーバイフォー工法(枠組壁工法)を日本が採用できるようにするための環境作りに尽力しました。例えば、COFIはツーバイフォー工法によるデモンストレーション・ハウスの建設を提案しました。これは、カナダ大使館職員住宅で(東京都港区南麻布、建て替え済み)で、カナダからツーバイフォー住宅のフレーマーを派遣して建設されました。後にCOFIハウスと名付けられ、ツーバイフォー工法オープン化を直前に控えたタイミングの中で,日本の建築業界が同工法への関心を高める結果になりました。その後、枠組壁工法構造用製材の日本農林規格が制定され、建設省(当時)は枠組壁工法の技術基準告示を公布しました。

COFIは建設省との問で1977年に日加共同による「ツーバイフォー普及運動」の実施についての取り決めが行われました。ツーバイフォー・キャラバンはこのような両者合意に基づいた事業で、全国でツーバイフォー住宅の見本建築とその住宅の展示を内容としており、全国25都市、32会場、モデルハウスの建設102棟、展示住宅への来場者数総計6万人という実績を残して、ツーバイフォー工法の普及・促進に多大な貢献を残しました。住宅建設のための製材品や合板はCOFIから提供しています。

建設省(当時)がカナダの製材規格と建築基準の調査のために調査団を派遣したこともカナダ式の住宅工法の基盤整備を進めるうえで大きく貢献しました。その後、1970年代後半にかけてCOFIが手配するカナダ調査団派遣は続けられ、建築基準担当の政府関係者、現場技術者、設計事務所、ビルダーなど、のべ約1,600人が毎年カナダを訪問しました。

非関税貿易障壁への対応もCOFIの重要な役割です。日加両国の住宅建設目標を達成するうえで両国政府と産業界が当面する問題について、技術的側面のほか財政的、社会的側面において官民合同で広範囲に経験を交換する目的で「日加住宅委員会」が1974年から2015年まで開催されました。この委員会での成果のひとつは、高断熱高気密住宅基準R2000の情報共有です。これは、フォリンテック(Forintek Corp. 前身はカナダ国立林産試験場。現在はFPInnovationsとして改組)、カナダ国立研究機構(NRC: National Research Council)およびカナダ住宅抵当公社(CMHC: Canadian Housing & Mortgage Corporation)との協力体制をCOFIが整えた結果でした。また、林産物に関する日米加3カ国協議は1990年から現在まで開催されており、規格基準関連の課題解決に向けてCOFIが中心的な役割を担ってきました。認証制度に精通したスタッフを揃え、日本の行政当局との連携を重視してきました。象徴的なのは,林産物で初の外国検査機関(FTO)として農林水産省から指定されたことで、その後もCOFI傘下の林産団体が日本初の登録外国認証機関(ROCB)に登録されました。その結果、ブリティッシュコロンビア州内の12の製材工場からJAS認証製材が日本に出荷されました。1980年中ごろには日本のツーバイフォー工法住宅の市場は年間着工数が25,000戸規模にまで成長しました。

2002年ごろからCOFIは一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会と共同でいろいろな技術課題に取り組んでいます。代表的な取り組みは,各種の耐火構造大臣認定を共同で取得したことで、その数は外壁33件,間仕切壁8件,床2件,屋根7件におよびます(2021年1月現在)。これらの認定取得によって、防火地域か否かにかかわらず,建物のどんな用途や規模でもツーバイフォー工法による建築を可能になり、ツーバイフォー工法の中層建築物、共同住宅および大規模商業施設の増加にもつながりました。なかでも共同住宅の着工数は急増し始め、2010年までにはツーバイフォー工法による共同住宅の着工数が全体の半数を超えるようになりました。ツーバイフォー工法による耐火構造建築物は2022年までに累積4,000棟を超え、この中には100棟を超える老人福祉施設、事務所棟および商業施設が含まれます。認定取得後の工法普及促進活動にも取り組み、カナダ視察やセミナーを通じて設計事務所、ビルダーおよびディベロッパーに情報提供を行い、従来の2階建てまでの住宅に代わって、非住宅や大型物件に取り組みやすい環境作りのお手伝いをしています。

2011年の東日本大震災とそれにともなう津波で東北地方は甚大な被害を受けました。カナダの林産業界は日本の多くの人々と長年、強い絆と友情を築き上げてきましたから、できる限りの支援が必要と考えました。どのような支援が可能かを学ぶため、カナダウッドは2011年の下旬にカナダ連邦政府、州政府の大臣と業界のトップからなる視察団を東北地方へ派遣しました。派遣からまもなく、東北復興プロジェクトが立ち上がりました。これはカナダ連邦政府とブリティッシュコロンビア州政府、アルバータ州政府、カナダ林産業界が資金面で支援して、被災した方々にとって本当に必要な、コミュニティーの再生に役立つ木造の建物を造る、というプロジェクトです。2011年から2015年にかけて、カナダウッド日本事務所は470万カナダドル相当の義援金からなるプロジェクトに着手しました。被災地の方々と連携して、4つの建物、すなわち、宮城県名取市の「ゆりあげ港朝市」と「どんぐり・アンみんなの図書室」、岩手県下閉伊郡山田町の「オランダ島ハウス船越小学校放課後児童クラブ」および福島県いわき市の「障がい児者支援センター『エリコ』」を建設しました。これらはカナダの木材と寄付金で建てられ、日本とカナダの永遠の友情の象徴として現在に至っています。

2010年代に入るとツーバイフォー工法の建築物は大型化、高層化そして複雑化していきました。これらの建築物に求められる長スパンや高い耐震性能を満足させるため、COFI日本事務所は新しい木質構造の建築手法を開発することに注力しました。先に述べたカナダの木材研究所FPInnovationsとブリティッシュコロンビア大学が共同で開発した高耐力壁Midply Wall System(MPW)を日本で採用できるように技術開発をすすめました。MPWが日本に最初に紹介されたのは、2009年7月に実施されたNEESWOOD Project(兵庫県三木市のE-Defenseで実施された枠組壁工法による実大7階建て共同住宅の震動台実験)です。その後COFIは一般財団法人ベターリビングと協力して、さまざまな加力実験を日本国内で実施し、その結果が一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会発行の「枠組壁工法建築物構造計算指針」に掲載されました。その結果、構造計算を前提とするツーバイフォー工法建築物の設計にMPWを採用できるようになりました。2022年までの日本におけるMPW採用例は4,500棟を超えています。

現在、私たちは地球温暖化などの脅威にさらされており、状況は決して甘くありません。しかし、COFIは木材の普及によってこれらの脅威に挑むことができると考えています。木材は全乾重量比で炭素の割合が50%で構成されています。したがって、持続可能な森林管理のもとで産出された木材をマスティンバーや高層木造建築に多用すれば、二酸化炭素を未来に向けてじゅうぶん貯留でき、温暖化ガス排出の抑止につながります。2020年にCOFIはマスティンバーの一種であるNLTを用いた床構面と屋根構面の準耐火構造に関する国土交通大臣認定を取得しました。これが契機となり、カナダの構造用製材SPFを用いたNLTが普及しつつあります。今後も技術開発を中心とする活動をつうじて努力を続けたいと思います。

Select Historical Milestones

1974COFI日本事務所開設。
建設省(当時。現在の国土交通省)が枠組壁工法(ツーバイフォー工法)を技術基準告示によってオープン化。同時に枠組壁工法構造用製材の日本農林規格が策定される。
1977日加共同によるツーバイフォーキャラバン開始
1980ツーバイフォーキャラバンによってモデルハウスが102棟建設される
1986COFIが農林水産省から初の指定外国検査機関(FTO)としての資格を取得。その後、登録外国認証機関(ROCB)となり、ブリティッシュコロンビア州内の12のCOFI認証工場からJAS格付製材を日本に出荷。
1990日米加の3か国による第一回建築専門家会合およびJAS技術委員会が開催。規格基準関連の課題解決に向けてCOFIが中心的な役割を担う。
2000国土交通省がカナダの格付規格に適合する木材に対して基準強度を指定。
2003COFIと一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会が耐火構造大臣認定の共同取得開始。防火地域か否かにかかわらず,建物のどんな用途や規模でもツーバイフォー工法による建築が可能になった。
「カナダウッドグループ」がカナダ全土を代表する日本で唯一のカナダ林産業連合組織として設立。メンバー団体がCOFI事務所に入居し、製材品から二次加工製品にいたるまで,幅広い製品群にまたがる対応体制となる。
2006日本のツーバイフォー工法住宅の年間着工数が10万戸を突破。
2011-2015カナダウッドが東北復興プロジェクトを完了。4棟の公的施設が建設され、東日本大震災で被災した東北地域に寄贈された。
2018高耐力壁ミッドプライウォールシステムの設計法が「枠組壁工法建築物構造計算指針」に掲載され、構造計算を前提とするツーバイフォー工法建築物にMPWを採用できるようになる。
2020ツーバイフォー住宅の累計着工戸数が300万戸を突破。COFIと日本ツーバイフォー建築協会がNLTの準耐火構造大臣認定を取得。
2022高耐力壁ミッドプライウォールシステムを用いた建築物の累計着工数が4,500棟を突破。