ウェスタンレッドシダー

Western Red Cedar
学名: Thuja plicata

特徴

日本の木材流通業界で「ベイスギ」と呼ばれることもありますが、ヒノキ科クロベ(ネズコ)属の植物で、スギ属ではありません。主にカナダ太平洋沿岸に生育し、樹高は60m、直径2.5mを超えるものもあり、非常に大きな樹木です。北米の先住民にとっては「生命の木」という位置づけで、トーテムポールなどの工芸品の材料として貴重なものでした。

ウェスタンレッドシダーにはツヤプリシン(Thujaplicin)という抽出成分が含まれており、強い抗菌、抗細菌活性および抗酸化活性を示します。そのため、この樹種は腐朽しにくい性質を持っています。倒木となったウェスタンレッドシダーが100年経過しても林地で健全な状態を保っており、屋根を葺くシングルとして利用できることが知られています。

強度特性

比重が低く、他のカナダ産針葉樹に比べてると強度特性は劣ります。しかし、柔らかく、加工性に優れます。

密度(kg/m3未乾燥材330
乾燥材339
比重(含水率12%)Standard等級0.33
硬度(N)柾目面・板目面1,470
木口面3,000
曲げヤング係数(N/mm2未乾燥材7,240
乾燥材8,270
曲げ強度(N/mm2未乾燥材36.5
乾燥材53.8
縦圧縮強度(N/mm2未乾燥材33.9
横圧縮強度(N/mm2未乾燥材3.43
せん断強度(N/mm2未乾燥材5.58
収縮率半径方向2.1%
接線方向4.5%
出典: © 2023 naturally:wood and Forestry Innovation Investment.

用途

非常に耐久性に優れ、腐朽に強いので、外構材としての用途に優れた性能を発揮します。とりわけフェンス、アウトドアデッキには広く利用されます。その他、シングル(屋根葺き材)、外壁サイディング、ガゼボ(あずまや)、屋外遊具、カヌー、プレジャーボートの内外装にも欠かせない樹種です。また、美しく温かいテキスチャーと深みのある色合い、独特の芳香が好まれて内装仕上げ材にも好んで利用されます。

等級と寸法

優れた構造耐力を発揮できる樹種ではないので、等級格付けされることは稀です。しかし、国土交通省が定める木材の基準強度(平成12年建設省告示第1452号)には枠組壁工法構造用製材の「W Cedar」樹種群として以下が規定されています。平成13年国土交通省告示1540号第2第三号に規定されている「国土交通大臣がその樹種、区分及び等級等に応じてそれぞれ許容応力度及び材料強度の数値を指定した」木材(JAS材以外)として平成21年3月13日国住指第3841号で掲げられている「W Cedar」についても同様です。

樹種群区分等級基準強度(N/mm2
FcFtFbFs
W Cedar甲種特級15.014.423.41.8
1級12.610.216.8
2級10.210.216.2
3級6.06.09.6
乙種コンストラクション11.47.212.0
スタンダード9.04.26.6
ユーティリティ6.01.83.6

寸法調整係数(寸法に応じて上記の基準強度に乗じる係数)

寸法形式応力の種類
FcFtFbFs
104, 203, 204, 4041.001.001.001.00
206, 4060.960.840.84
208, 4080.930.750.75
2100.910.680.68
2120.890.630.63

ウェスタンレッドシダーの用途はデッキや外構材が中心ですから、実際の流通では、外観重視の等級が存在し、用途別にさまざまな寸法が用意されています。詳しくは下記のサイトをご覧ください。