ダグラスファー
Douglas-fir
学名: Pseudotsuga
特徴
日本の木材流通業界で「ベイマツ」と呼ばれることもありますが、マツ科トガサワラ属の植物で、マツ属ではありません。さらに、生育場所によって2種類に分かれます。カナダ太平洋沿岸に生育するCoast Douglas-fir(Pseudotsuga menziesii var. menziesii)とカナダ ブリティッシュコロンビア州内陸部に生育するInterior Douglas-fir(Pseudotsuga menziesii var. glauca)です。最高樹齢は500年程度ですが、樹齢1,500年のダグラスファーが発見されたという記録もあります。樹高は沿岸部で85m、内陸部で42m、直径2m程度。現在のバンクーバー周辺のダグラスファー林は植林された二次林ですが、人々が入植しはじめた頃のバンクーバー一帯はダグラスファーの原生林だったといわれています。
強度特性
カナダ産針葉樹の中では最も強度が高い樹種の一つで、優れた構造耐力が求められる用途に使われます。
密度(kg/m3) | 未乾燥材 | 450 |
乾燥材 | 487 | |
比重(含水率12%) | Standard等級 | 0.45 |
硬度(N) | 柾目面・板目面 | 2,990 |
木口面 | 4,020 | |
曲げヤング係数(N/mm2) | 未乾燥材 | 11,100 |
乾燥材 | 13,500 | |
曲げ強度(N/mm2) | 未乾燥材 | 52.0 |
乾燥材 | 88.6 | |
縦圧縮強度(N/mm2) | 乾燥材 | 50.1 |
横圧縮強度(N/mm2) | 乾燥材 | 6.01 |
せん断強度(N/mm2) | 乾燥材 | 9.53 |
収縮率 | 半径方向 | 4.8% |
接線方向 | 7.4% |
用途
強度が高く、構造材として広く利用されます。特に高い曲げ強度が求められる梁やトラス部材としての利用はその代表例です。構造用集成材のラミナとしてダグラスファーは日本で最も普及しています。構造用合板の製造においては、強度性能を高めるために、表裏単板にダグラスファーが用いられます。加工性にも優れるので、木製窓、ドア、フローリング、家具にも多用されます。北米では電柱の材料としても頻繁に用いられます。
等級と寸法
国土交通省が定める木材の基準強度(平成12年建設省告示第1452号)で、「べいまつ」や「DFir-L」は最も高い値が規定されている樹種(群)の一つです。平成13年国土交通省告示1540号第2第三号に規定されている「国土交通大臣がその樹種、区分及び等級等に応じてそれぞれ許容応力度及び材料強度の数値を指定した」木材(JAS材以外)として平成21年3月13日国住指第3841号で掲げられているNLGAディメンションランバーの「DFir-L(N)」についても同様です。
枠組壁工法構造用製材の基準強度
樹種群 | 区分 | 等級 | 基準強度(N/mm2) | |||
Fc | Ft | Fb | Fs | |||
DFir-L | 甲種 | 特級 | 25.8 | 24.0 | 36.0 | 2.4 |
1級 | 22.2 | 16.2 | 24.6 | |||
2級 | 19.2 | 15.0 | 21.6 | |||
3級 | 11.4 | 8.4 | 12.6 | |||
乙種 | コンストラクション | 21.6 | 11.4 | 16.2 | ||
スタンダード | 17.4 | 6.6 | 9.6 | |||
ユーティリティ | 11.4 | 3.0 | 4.2 |
寸法調整係数(寸法に応じて上記の基準強度に乗じる係数)
寸法形式 | 応力の種類 | |||
Fc | Ft | Fb | Fs | |
104, 203, 204, 404 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
206, 406 | 0.96 | 0.84 | 0.84 | |
208, 408 | 0.93 | 0.75 | 0.75 | |
210 | 0.91 | 0.68 | 0.68 | |
212 | 0.89 | 0.63 | 0.63 |
断面寸法は枠組壁工法構造用製材(ディメンションランバー)のサイズ(公称2インチ×4インチなど)をはじめ、いわゆるカスタムカットの製品においては顧客の要望に応じてさまざまな寸法で出荷されます。