OSBレシプロ格子梁
エンジニア: 山田憲明構造設計事務所
用途: 住宅、オフィス、幼保施設等の屋根、床
使用部材
面材: OSB
受材: ディメンションランバー404、または60×60
接合具: 釘、ビス
適用スパン: 屋根~10m、床~6m
外周の柱や壁を支点、OSB充腹梁をユニットとしてこれを卍形状に構成したレシプロカル構造である。荷重を直交2方向に均等に流すこと合理性が生まれるため、辺長比が小さい正方形に近い平面形状の部屋を架け渡すのに適している。上下面がフラットなため、陸屋根だけでなく、高さ方向にスペースが確保しにくい中間階の床にも使える。
OSBを縦使いとして梁として用いようとする場合、梁せいは910㎜、1220㎜を確保できるが、材長が最大3050㎜であることから、単純梁形式ではこれ以上のスパンを架け渡すことができない。また材厚が9㎜と薄いため、曲げモーメントによる横座屈が課題となる。
この構造的課題は、レシプロカル構造と格子構造を組み合わせたレシプロカル格子構造によって解決することができる。即ち、スパンより短いユニットを両端ピン接合で繋いでいっても、レシプロカル構造の仕組みによって、架構全体としてモーメントを伝達することが可能になる。また、ユニット横座屈については、格子構造によって、一方のユニットが直交して取り付くユニットによって水平方向の変形を一定間隔で拘束するため、座屈拘束の効果が生まれる。
ユニットは、小断面の受材でつくった下地にOSBを両面から釘やビスで止めつけて製作する。このユニット同士は、一方のユニット端を直交するユニット中間の側面でジョイントされるが、この部分は、直交ユニットの側面に受材をビス止めしておいて、これに取り付いてくるもう一方のユニットの2枚のOSBで受材を挟んでビスや釘止めして接合する。レシプロカル構造では組み立てのための手順や取り付け方向が課題になるが、この方法であればスムーズに組み立てることができる。