OSB大開口耐力壁

エンジニア: 山田憲明構造設計事務所

用途: あらゆる建物の耐力壁

使用部材
縦枠材: ディメンションランバー2×8~212

横枠材: ディメンションランバー2×8~212

面材:OSB

接合具: ビス

水平耐力: 壁倍率相当で2倍程度を想定

大開口や開放性の高い空間をつくるにはラーメン構造の採用が有効であるが、木造ラーメンの構造設計はモーメント抵抗接合部の評価や確認申請における審査側の理解に難がある。一方、耐力壁構造は大開口や開放性の高い空間をつくるには難があるが、一定の仕様のもとでの実験等で水平耐力の評価が公的になされていれば確認申請でも審査側に理解を得られやすい。これらのことから、在来軸組構法の軸組内にラーメンフレーム要素を入れたラーメンフレーム的な耐力壁構造を考案し、大開口や開放性の高い空間とモーメント抵抗接合部の評価や確認申請における審査側の理解を得やすくすることを目的とする。

本案は、2インチ材とOSBを組み合わせて構成したラーメンフレームパネルを軸組内に挿入することで、開口率の大きな軸組構法用の耐力壁をつくるものである。ラーメンフレームパネルは、2インチ材で縦横枠材を構成したロの字フレームのペアの間に、縦横枠材が接合されるパネルゾーン部分にカットしたOSBを挿入したものである。2インチ材とOSBを多数のビスで縫うことで2面せん断によるモーメント抵抗を発現させる。OSBの形状は、応力集中の緩和や開口率の向上を狙って円弧状にカットしている。挿入するOSBは1枚でもよいが、2~3枚に増やすことでビスに対するOSBの支圧面積を増やして剛性と耐力の向上をさせることも可能である。このラーメンフレームパネルを軸組内にセットし、枠材を軸組の柱と横架材にビス止めして完成する。化粧あらわしの耐力壁に共通する課題として、柱頭柱脚の引き抜き力を負担するホールダウン金物やコーナー金物を設けにくいことがある。このため柱頭柱脚はホールダウンパイプや引きボルトなど、軸組内に内包されるディテールを使うことになる。