学校施設において自然との調和を促進し、重要な役割を果たす木造空間

成城学園初等学校は「合わせ格子フレーム」を採用することで木立の中にいるような教室を実現

 

カナダ林産品の普及活動を行う非営利業界団体カナダウッドジャパンより、学校施設の木造化の事例をご紹介します。

 

文部科学省が2020年12月に発表した「公立学校施設における木材利用状況に関する調査結果について」によると、2019年度(令和元年度)に新しく建築された全ての学校施設823棟のうち、508棟(61.7%)で木材を使用しており、そのうち木造施設は186棟(22.6%)、非木造施設のうち内装木質化を実施した施設は322棟(39.1%)となり、学校施設でも木材利用が進んでいます。

学校施設における木材利用のメリットの一つとしては、木造校舎が生徒に与える影響が挙げられ、木造校舎の方がRC(鉄筋コンクリート)造校舎よりも情緒不安を感じる生徒の割合が低く、精神的にリラックスした状態で過ごせることを示す研究結果※もあります。※ (財)日本木材総合情報センター: 木材利用推進マニュアル「木造校舎が生徒の健康面に与える影響」

 

成城学園初等学校(東京都世田谷区)では、創立100周年の新たな教育カリキュラムに合わせて本校舎建替工事プロジェクトが計画され、2019年6月に新校舎が竣工しました。設計は株式会社日建設計(東京都千代田区)によって設計コンセプト『森・風・光、そして人とつながる学び舎』を基に行われ、敷地の原風景を生かして自然と親しむ教育を促す学園独自のカリキュラムに沿った分棟配棟でより光と風を感じられ、都心の森の環境に馴染む学び舎を目指す中で木造化の採択に至りました。

児童たちが学校生活において最も長い時間を過ごす教室の屋根には「合わせ格子フレーム」を採用し、あたかも木立の中にいるような心地の良い木造空間となっています。この優しく個性的な屋根架構を構成している「合わせ格子フレーム」は日建設計および本プロジェクトを担当したメーカー、大学の協力によって開発されたもので、日本古来の和組構法を基軸に規格製材(2×2、2×6材)を用い、LVLガセットとビスで細かな材料を組み合わせてトラス化したものです。一般的に2×4工法で使用される規格製材を接合部に接合金物を用いず、接合具のみによって実現した点は先進性に優れており、細かい木材の集合体によって程よい解放感をもった気積を生み出している「合わせ格子フレーム」は、児童、教職員、そして保護者の「三位一体」の教育方針になぞらえた屋根架構であるとも言えます。

本プロジェクトで生まれ変わった教室は、児童と保護者からも「自然な雰囲気で気持ちが良い」と好評を得ており、まさに成城学園初等学校の自然と親しむ教育方針を体現しています。文化祭ではこの屋根架構に個性的な飾り付けをする教室もあったといいます。また、全学年の教室を2階にまとめて配置し、人間関係を育む平面計画としています。実際に他学年間のつながりが増えたことで、初等学校全体としての一体感がさらに醸成されました。

本プロジェクトの設計を担当した株式会社日建設計の中西氏は、「非住宅建築の木造化は昨今ますます進んでおり、都心での中高層建物の事例も増えつつあります。公共施設や教育、福祉関係の施設への木造化の普及とあわせて、今後もさらなる木造化の進展に期待しています。そのためにも、本プロジェクトで開発した『合わせ格子フレーム』がより多くの建物に普及していくことを願っています」とコメントしています。

 

カナダウッドジャパンでは、今後も木造建築に関わる革新的な技術の研究開発をすすめ、持続可能性の高い木材の利用機会拡大を実現するべく、大規模建築・非住宅建築の木造化をはじめとした日本国内における木造建築の普及活動に引き続き取り組んでいきます。