COFI Celebrating 50 Years!

日本創立50周年

COFI(Council of Forest Industries カナダ林産業審議会)が東京に設立されて、今年、創立50周年を迎えます。我々の創立年は、日本でツーバイフォー工法が始まった年でもあります。1974年、カナダ ブリティッシュ・コロンビア州林業界を代表して設立された我々の使命は、日本におけるカナダ産木材の市場拡大でした。この時期は日本の高度経済成長に伴い、良質で手頃な価格の住宅へのニーズが非常に高まっている時期でもありました。COFIは日本の行政と連携し、北米のツーバイフォー工法(枠組壁工法)が日本で採用される為の環境作りに尽力しました。1974年、建設省(当時。現在の国土交通省)が枠組壁工法(ツーバイフォー工法)を技術基準告示によってオープン化。同時に枠組壁工法構造用製材の日本農林規格が策定されました。

1970年代半ば以降、COFIは日本の住宅業界と密接に協力し、ほとんど世に知られず注目されていなかったツーバイフォー住宅を、耐震性能と省エネ性能で高く評価される主流の建築形式へと成長させてきました。1977年秋には、東京・銀座で「ツーバイフォーキャラバン」キャンペーンを開始。日本全国25都市にモデルハウス102棟を建設し、ツーバイフォー工法の普及・促進に大きく貢献しました。同時にCOFIは、ツーバイフォー製材規格と建築基準調査の為のカナダへの調査団派遣を推進。1970年代後半までに、建築基準担当の政府関係者、現場技術者、設計事務所、ビルダーなど、のべ約1,600人がカナダを訪問しました。

その後数十年にわたっては、COFIは規格基準関連の課題解決への対応に重点を置いてきました。一例として、日米加3か国の技術・建築専門家協議では、COFIが各国の行政当局の連携をはかりました。同様に「日加住宅委員会」開催時には、フォリンテック(前身はカナダ国立林産試験場、現在のFPInnovations)、カナダ国立研究機構 (NRC)、およびカナダ住宅抵当公社 (CMHC)と協力し、日本におけるツーバイフォー住宅の拡大を支援する為、高断熱高気密住宅基準R2000の情報共有に努めました。また、COFIがJAS 製材品の初の外国検査機関として認定されたことで、ブリティッシュ・コロンビア州内の12の製材工場からJAS認証製材が日本に出荷されました。1980年代半ばには、日本のツーバイフォー工法住宅市場は年間着工数が25,000戸規模にまで成長しました。

2000年代初頭には、COFIは一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会と共同で様々な技術課題に取り組んでいます。代表的な取り組みは、各種の耐火構造および準耐火構造大臣認定を共同で取得したことで、その数は50以上におよびました。これらの認定取得によって、どんな用途や規模の建物でもツーバイフォー工法による建築が可能になり、ツーバイフォー工法の中層建築物、共同住宅および大規模商業施設の増加に繋がりました。なかでも共同住宅の着工数は急増し始め、2010年までにはツーバイフォー工法による共同住宅の着工数が全体の半数を超えるようになりました。ツーバイフォー工法による耐火構造建築物は、2024年までに累計4,400件を超えています。この中には150棟を超える4~6階建て中高層建築物、100棟以上のオフィスと、病院・高齢者介護施設・商業ビルなどの非住宅建築物が含まれます。

2011年の東日本大震災とそれにともなう津波で、東北地方は甚大な被害を受けました。カナダの林産業界は、日本の多くの人々と長年強い絆と友情を築き上げてきましたので、できる限りの支援を行いたいと考えました。どのような支援が可能かを探る為、COFIおよびカナダウッドは2011年下旬、カナダ連邦政府、州政府大臣と業界のトップからなる視察団を東北地方へと派遣しました。派遣からまもなく、カナダ・東北復興プロジェクトが立ち上がりました。被災した方々にとって本当に必要な、コミュニティーの再生に役立つ木造の建物を造る、というプロジェクトです。2011年から2015年にかけて、COFIは470万カナダドル相当の義援金からなるプロジェクトの陣頭指揮を執ることになりました。 被災地の方々と連携して、4つの建物、宮城県名取市の「ゆりあげ港朝市」と「どんぐり・アンみんなの図書室」、岩手県下閉伊郡山田町の「オランダ島ハウス船越小学校放課後児童クラブ」と福島県いわき市の「障がい児者支援センター『エリコ』」を建設しました。これらはカナダの木材と寄付金で建てられ、日本とカナダの永遠の友情の象徴として現在に至っています。

2010年代に入ると、ツーバイフォー工法の建築物は大型化、高層化、そして複雑化していきました。これらの建築物に求められる、より長いスパンやより厳しい耐震性能を満たす為、COFIは新しい木質構造の建築手法を開発することに注力しました。2009年に神戸で行われたNEESWOOD Project(枠組壁工法による実大7階建て共同住宅の震動台実験)を皮切りに、FPInnovationsの協力のもと、カナダの高耐力壁Midply Wall System (MPW)を日本に導入する為の研究開発プログラムを開始しました。その後COFIは一般財団法人ベターリビングと協力して、さまざまな加力実験を日本国内で実施し、その結果が一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会発行の「枠組壁工法建築物構造計算指針」に掲載されました。2024年までに日本におけるMPW採用例は10,000棟を超えています。

現在、私たちは地球温暖化などの脅威にさらされており、状況は決して甘くありません。しかし、COFIは日本のステークホルダーとともに木材を普及することによって、これらの脅威に挑むことができると考えています。木材は全乾重量比で炭素の割合が50%で構成されています。したがって、持続可能な森林管理のもとで産出された木材をマスティンバーや非住宅用途に多用すれば、二酸化炭素を未来に向けて充分貯留でき、温暖化ガス排出の抑止に繋がります。2020年にCOFIはマスティンバーの一種であるNLTを用いた床構面と屋根構面の準耐火構造に関する国土交通大臣認定を取得しました。NLTの日本国内における実用化に向けて、一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会と共同で研究開発に取り組んできた結果です。これが契機となり、カナダの構造用製材SPFを用いたNLTが普及し始めました。

過去50年、カナダの林産業界と日本の住宅業界は、ともに数々の困難に直面してきました。自然災害から不安定な通貨や木材市場、バブルや不況、コロナの世界的大流行や気候変動まで。しかし、その間、我々は揺るぎないパートナーシップを維持し、その結果、両国は大きな利益を得てきました。今日までに、我々は累計330万戸以上のツーバイフォー住宅着工を達成しました。日本との持続可能な林産物の年間貿易額は10億カナダドルを超え、我々の産業は誇りをもって両国間の貿易の柱となっていると言えるでしょう。

これらの成功は、日本の多くのパートナーやカナダの林産業界、政府関係者の献身的な支援なしには成し得ませんでした。そして、創立から今日までの多くのCOFI/カナダウッドチームメンバーの努力なしでも達成し得なかったでしょう。

今後も、これまで我々を支えてくれ、成功の鍵となった、パートナーシップの強み、技術革新による成長、そしてチーム、を常に意識しながら努力を続けたいと思います。カナダの全てのステークホルダーを代表し、皆様の長年のご支援に心より感謝申し上げますとともに、引き続き日本のパートナーの皆様と緊密に連携し、カナダ産林産物のビジネスチャンスを拡大していきたいと思います。