MSRランバー
MSRランバー MSR Lumber
MSRランバー:強度・剛性を数値的に表示
「MSRランバー」と呼ばれる機械等級区分製材は、一本毎に実施される非破壊試験により製材の曲げヤング係数(MOE: Modulus of Elasticity)を測定し、その製材の曲げ強度(MOR:Modulus of Rupture)を推計したうえで強度等級が区分されています。このようなMSRランバーの格付を実現した背景としては、膨大な数量の針葉樹製材について、非破壊検査によるMOEと破壊検査によるMORを測定しデータを蓄積・研究したことが挙げられます。NLGAは1987年にこの試験研究の成果をまとめて「SPS2」という規格を制定しています。
目視等級格付と比較し、強度のバラツキが小さく材料強度が数値表示された信頼性の高いMSRランバーは、トラスやIビームなどのコンポーネントや大規模建築物の設計・施工など、木質構造材料の工学的利用に不可欠です。同一等級内の製材品の強度を正規分布とみなした場合、強度のバラツキを示す変動係数(標準偏差/平均値)は、目視等級格付の製材がおよそ25%程度となっているのに対して、MSRランバーは10~15%程度となっており、MSRの導入によって製材の等級格付における強度信頼性は飛躍的に向上しました。なおMSRランバーは、MSRシステムのロードセルによる荷重量と光学センサーが読み取る変形(たわみ)量により、MOEの算定を行ないますが、この製品の信頼性を保持するうえでMOEの値が常に正常な値である必要があります。このためNLGA SPS2では、製造過程でMOEのチェックを義務づけるとともに、シフト毎に5本の試料を実際に抜き取り、破壊試験によってMOEとMORを測定するという二重の品質チェック体制を規定しています。
カナダの格付規格に基づくMSRランバーの基準強度(単位:N/mm2)
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MSRランバーの格付表示

NLGAルールによる格付マーク例

JASによる格付マーク例
MSRシステム図

A:製材品投入部
B:ロードセル
C:光学センサー(変形量の測定)
D:コンピューター(MOE-MOR相関からのMORの測定)
E:インクスプレー(強度等級別の色表示を行う)