気密・断熱
気密・断熱の基本
省エネルギーと同時に快適な室内環境を実現させるために、施工段階で一定の気密・断熱性能を付与させた次世代型省エネルギー基準を満たす住宅が求められています。
世界的な地球温暖化防止の流れでハイレベルな基準が求められる中、2x4住宅では冷暖房によるエネルギー消費量の少ない、省エネルギー住宅を実現できます。
また、24時間計画換気を行いやすいため、シックハウス対策に有効です。
一定の省エネルギー基準を満たした住宅は、住宅金融支援機構の融資面でもメリットがあります。
2x4における気密・断熱の基本
2x4工法で施工すると・・・

- 熱を伝えにくい木材で構成される面同士を接合するため、断熱に有効です。
- 面材と、それらの接合部に防湿・気密層を施工し、気密性能を持たせます。
- 面が連続するため隙間が少なく、断熱材の施工が容易になります。
- 設備配管などの取合い部にも気密を確保する処理をしやすい工法です。
- 仕様規定・規格化により、気密の精度を高めやすくなります。
- 通気層を擁した外断熱工法への応用が容易で、より高性能な仕様での施工が可能となります。
気密・断熱手法の参考例
住宅の断熱・気密性能を高めることで省エネルギーと同時に、より快適な室内環境を実現します。
しかし誤った施工では十分な性能が得られないだけでなく、結露によるカビやダニの発生や、柱や土台の腐朽により住宅の寿命を縮める原因となる危険性もあります。
断熱工事における地域区分の違いや各団体・企業などの解釈により、共通仕様書を基にした様々な仕様が考えられていますが、ここでは2x4工法における一例を紹介します。
土台まわり
土台先張りシートの施工
床の施工後では透湿防水シートの施工ができなくなるため、あらかじめ「先張りシート」を施工します。先張りシートは壁の内部に床下の冷たい空気が入らないための通気止めの役割も兼ねています。
先張りシートは、根太の施工前に土台の内側にタッカーで留めてゆきます。シート下端は、シート押さえ材または根太掛けで土台とはさみつけて押さえます。
壁と床の面材が取合う部分には先張りシートを張って気密性を高めます。


床まわり
床の施工

床下からの湿気の進入を防ぐため、布基礎の場合は根太の下に、べた基礎の場合はスラブ下に、防湿気密フィルムを全面に施工します。
床根太の施工後に隙間のないように撥水断熱材を施工します。防湿気密フィルムと一体となっている耳つき断熱材の場合は受け材と併用して耳の部分を床根太の上に、欠き込みのあるボード状の断熱材の場合は欠き込み部分を床根太の位置に合わせ、床根太同士の間にはめ込みます。
床根太の施工後に隙間のないように撥水断熱材を施工します。防湿気密フィルムと一体となっている耳つき断熱材の場合は受け材と併用して耳の部分を床根太の上に、欠き込みのあるボード状の断熱材の場合は欠き込み部分を床根太の位置に合わせ、床根太同士の間にはめ込みます。
断熱材の上に床下地の合板を施工します。合板の目地部分と端部を目張りして気密を確保します。防湿気密フィルムを施工している場合、目張りは不要です。
壁まわり
先張りシートの施工
外壁に接する間仕切り壁(写真左)などにも先張りシート(オレンジ色のシート)を張って気密性を高めます。同様に、壁や天井(写真右)にも先張りシートを施工します。


壁の気密・断熱施工
断熱材を枠組材の間にはめ込みます。先張りシートが施工されている部分にも、断熱材を隙間無く差し込んで施工します。
断熱材の施工後に、内側から防湿気密フィルムを張ります。枠組材の見付面にタッカーで留め、その上からボード類の仕上げを取付けて押さえます。


建具まわり
外部建具まわりの施工

外部に面する建具まわりは断熱の欠点となりやすいので、気密パッキン材や気密テープなども適宜併用して性能を確保します。

天井
天井の断熱施工
断熱材の室内側に防湿気密フィルムを張ります。天井下地または枠組材下面にタッカーで留め、その上からボード等の仕上材を取付けて押さえます。ビーズ状の断熱材を吹き込んで施工するブローイング断熱材を使用する場合は、防湿気密フィルムを断熱施工の前に施工しておく必要があります。
天井と壁の防湿気密フィルムが取合う部分では、天井のフィルムを垂れ下げ、下地のある箇所で10cm以上の重ねを取るようにします。


外壁通気層

特に高い省エネルギー性能を確保する場合、外壁及び屋根に通気層を設ける外壁通気工法とします。断熱材と外装材との間に設けた通気層が壁体内の水蒸気を有効に排気し、壁体内の結露を防ぎます。
外壁通気工法では、通気層の室内側に透湿防水シートを施工します。透湿防水シートは、外壁を通って侵入してきた雨水の壁体内への侵入を防ぎながら、室内や壁体内の木材等から発生する水分を排出し、壁体内を乾燥した状態に保ちます。
設備まわり
壁の気密・断熱施工
屋内に配管がある場合、配管の屋内側に防湿材がくるように施工します。壁と床との接合部には、端材を詰めて通気止めをします。
コンセントボックスやダクトまわりは防湿材をはがし、気密専用部材や気密補助材を適宜使用した上で、気密テープなどで目張りします。


換気システム

住宅の高気密化を行うと隙間が少なくなり、室内の温熱環境は向上し、住宅の省エネルギー効果は大きくなりますが、その反面、隙間などからの自然換気量が減少し、空気汚染問題に発展する可能性があります。このため気密住宅では、住宅全体を対象として、生活用品や建材から発生する化学物質・臭い・生活に伴い発生する水蒸気、その他一般的に想定される屋内空気汚染物質の排出を目的に、原則として換気回数で0.5回/h以上の換気量を通年に渡り確保できるように換気設計を行う必要があります。
建築基準法の改正(平成15年7月1日施行)により、シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるため、原則として居室等に機械換気設備の設置が必要となりました。
台所・浴室・便所などでは水蒸気や臭気などが発生するため、局所機械排気を要します。また、それら以外でも局所的に室内空気汚染物質が発生する部屋においては機械排気を設けます。
機械換気の3つの手法
機械換気の方法には、第1種から第3種までの3種類があります。

熱交換式換気扇などを用い、給排気を機械換気にて行います。
給排気量の確保が容易であること、寒冷地において冬季の新鮮空気の加湿が行えることが特徴です。

機械給気・自然排気となる方法です。
特に気密性の低い建物では室内の比較的高湿な空気が壁体や天井裏に押し込まれ、内部結露が発生する恐れがあります。
そのため、通常住宅においてはあまり使用されません。

機械排気・自然給気となる方法です。
比較的簡便な方法で換気量を確保できる点が特徴ですが、適正な換気量を確保するためには高い気密性能が要求されます。
シックハウス対策
シックハウスとは
建築資材から室内に発生する化学物質によって発症されると考えられる過敏症や、カビ・ダニの死骸などを含んだハウスダストによって引き起こされるアレルギー症状、あるいはそれらの合併症の総称をいいます。
近年、住宅の性能が上がってきたために問題となってきました。住宅に規定の性能を与え、かつ有効な換気をすることで対処すべく、法体系などの見直しなどが行われました。
2x4工法での対策
低ホルムアルデヒドの建材を使用することで、室内における化学物質の発生を未然に最小限に押さえることができます。
高気密・高断熱化により、温度損失の少ない計画的な換気が可能となります。
高気密住宅とすることで、比較的簡便な方法で換気量を確保できる第3種換気方式で規定の性能を確保することができます。24時間型の排気機と自然吸気口を設置することになります。
換気をすることで、室内に発生した化学物質を有効に排出できるだけでなく、適正な湿度を維持することもできます。湿度50%以下を維持すれば、ダニ・カビ発生の抑制にもなります。
気密測定・風量測定
気密測定とは、住宅の隙間の量を計測する検査のことです(写真左)。この気密測定により、家の隙間が床面積に対してどの位あるかが分かります。
風量測定とは、24時間換気システムが計画通りの風量を換気しているのかをチェックするものです(写真右)。具体的には換気の吸い込み口に風量測定器をあてて風量を測定し、 計画した風量が正しく出ているかを確認します 。
どちらも測定義務はありませんが、家の性能を実証するデータの一つです。

