経済性
経済性一低コストであるということ
世界でも先進的な住宅工法として知られる2×4住宅を生んだ北米では、近年、枠組材として木材にかわる素材の開発・研究がすすめられています。その代表例がスチールハウスの開発です。
スチールを使用する試みは、1970年代の初頭から試みられてきましたが、過去いずれも本格的な代替にはつながらず、一時的なブームに終わっています。それにもかかわらず、再びスチールへの関心が高まった背景としては、建設コストや環境保護の面からの利点を指摘する声が高まったことが挙げられます。しかし、木材・鉄鋼両分野の市場構造や1990年代の市場動向を勘案すると、スチールハウスの特性とされるコスト効果は、必ずしも明瞭化されていません。
カナダ木材委員会は、2×4工法用枠組材における素材の優位性を検証するため調査を行い、木材とスチールの両素材間でコスト及び技術面で、どのような違いがあるのかを明らかにしました。
タウンハウス、平屋建て、2階建て住宅コストを比較


この比較調査の対象となったのは、カナダのトロント近郊に建設された、タウンハウス、平屋建て、2階建ての3棟のモデルハウス。使用した資材の価格は、木材価格が最も激しく急騰した1994年3月時点のもので、トロント市のある大手ビルダーが入手する際の価格として、木材供給業者4社の木材製品の価格を平均して算出しました。スチールの価格情報は、トロント市でスチール製部材を製造する専門加工業者から入手し、複数の建築業者に面談調査を実施しました。なお、スチールハウスの建設に必要な技術コストは、実際の建築例に応じて複雑に変化するものであるため、今回のコスト比較には含まれていません。
この比較建築の結果、全体的に木造2×4住宅がスチールハウスよりも安くなっていることが実証されました。木材価格が急騰した時点での計算にもかかわらず、タウンハウスモデルと2階建てモデルに関しては、木造2×4住宅のほうが、スチールハウスに比べ、それぞれ2.8%、5.6%のコストを低減。平屋建てでは、逆にスチールハウスの方が0.3%ながら木造を下回る結果となっています。とくに荷重を受ける部分の多い設計例の場合は、木造2×4住宅は強力な市場競争力をもち、スチールハウスを超える大きなコスト低減効果がみられました。

