木材の耐久性

1890 年竣工Barclay Manor(カナダ・バンクーバー市)

北米のツーバイフォー住宅には、築100年を超える長寿の住宅も数多く現存しており、その理由は単に気候条件の違いだけではなく、維持管理に対する考え方の違いにあります。木造の建築物は維持管理さえ怠らなければ、100年以上の寿命があるのです。カナダ林産業審議会と日本ツーバイフォー建築協会は「なぜカナダでは築100年の木造住宅が多く現存するか?」に対する答えを考える一助を得るため、(独)建築研究所の中島史郎様に依頼し、2009年2月1日から2009年2月4日まで調査を実施しました(※下記PDFファイル「カナダ長寿命木造住宅調査結果」参照のこと)。

 

 

Barclay Manor の内部

1. 普遍性のある工法

カナダに建つ木造住宅のほとんどが枠組壁工法(ツーバイフォー工法)です。枠組壁工法は百数十年前から北米の標準的な工法であり、部材の断面寸法、使用材料などが昔と今では多少変化してきているものの、基本的なコンセプトは現在も100年前も同じです。このことは、一般的な技術を持った現代の大工でも、100年前に建った躯体の改修工事が行えることを意味します。木造住宅を永く使うためには、万が一、躯体が劣化した場合でも、劣化した部分の交換が誰にでも行える標準的な工法を用いていることが重要です。

 

 

1886 年竣工The Diamond Centre for Living
(カナダ・バンクーバー市)

2. 普遍性のある材料

カナダの木造住宅の外壁材には今でも木製サイディングが使われており、ペンキ塗装仕上げとなっています。また、屋根材はウッドシェイクが使われています。この2つの材料は、100年前から使い続けられている材料です。近年、耐久性のより高い材料が使われることがありますが、何処にでもある、誰でも使える材料を使い、経験的に知られている材料の使用限界がきた時点で、遅滞なく交換する方が、長い目で見ると建物の長寿命化に繋がる可能性があるのです。

 

 

竣工当時のDiamond Centre for Living(1886 年)

3. 古さを感じさせない室内空間

調査したペンションや老人福祉施設などの建物については、建物内部が徹底的に現代風に改修されていました。また、居住性を高めるために必要な改修工事が多く施されていました。このため建物の内部は、新築の住宅とほとんど遜色がない状態にありました。建物の内部について、汚さ、古さ、居心性の悪さを感じさせないように徹底的に改修することが重要です。

 

 

Diamond Centre for Living の内部

4. 長く住み続けたいと感じる街並み

築100年以上の住宅を購入し、居住している理由の多くは、① 街並が気に入った② 街並みを壊したくないので、古い家を壊さずに使い続けている

というものでした。住宅の長寿命化は建物単体に対する対策だけでは実現できません。住み続けたい「まち」があるからこそ、住み続けたい家が生まれるのです。