ミッドプライ・ウォール・システム

Midply Wall System(以下Midply)は1998年カナダ・ブリテイティッシュコロンビア州バンクーバーのフォリンテック(Forintek Corp. 前身はカナダ国立林産試験場。現在はFPInnovationsとして改組)とブリティッシュコロンビア大学によって考案された木質構造の高耐力壁です。FPInnovationsが知的所有権を保持したまま「Open Design」*という概念で技術を公開しています。一般的な材料のみを使って組み立てられるにもかかわらず優れた水平耐力性能を発揮できるため、4層以上の中層木造建築物に不可欠な水平耐力要素です。COFIでは構造計算ルートに進む場合の便宜を図るため、日本ツーバイフォー建築協会発行の「枠組壁工法建築物構造設計指針」(いわゆる緑本)の改訂出版を前提とした指針案を作成中です。

Midplyの最大の特長は、特別な材料、装置、スキルを必要とせず、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)用の一般的な材料のみを使って組み立てられることにあります。図1のように面材の両側に平使いに配置するたて枠で面材をサンドウィッチ状に挟み込みます。そのため、釘は二面せん断を受けることになります(図2)。二面せん断の釘接合部は一面せん断のものよりもせん断強さが約80%高いとされているためMidplyが優れた水平せん断耐力を発現するのです。

Midply耐力壁においては、従来の耐力壁に見られた破壊モードを除外することにより耐力がさらに高まります。Midplyの構造用面材は従来のようにたて枠の材厚面ではなく材幅面に留め付けられます。これにより、構造用面材の外周部や中通りにおいて部材端部と釘間の距離を大きくとることが可能になり、Midplyの耐力を増すことができます。また、部材端部と釘間の距離が大きくとれることによって、釘の引き抜きなどが起こる可能性が低くなります。さらに、たて枠へ構造用面材を留め付ける際の作業も容易になります。釘頭はパネル中央の表面に現れないので、釘のパンチングアウトも生じにくくなります。構造用面材への釘の打ち込み過ぎや、たて枠への打ち損じなどの作業不良なども防ぎやすくなります。

弊会ではこのたび「Midply Wall Systemを用いた中層・大規模枠組工法建築物」という冊子を作成しました。本書ではMidply耐力壁の概念や部材の構成方法、構造性能、法的対応等について解説するとともに、2 棟のモデルプランの試設計を通してMP 耐力壁を用いた中層・大規模枠組壁工法建築物の可能性について検証を行っています。

*FPInnovationsのMidply Wall Systemに関する"Open Design"という概念とは、下記を要件として、誰でもMidply Wall Systemを使えるようにするもの。

1. "Midply Wall System"という用語を一貫して用い、このとおりの表記とすること。
2. FPInnovationsのDr. Erol Varogluとブリティッシュコロンビア大学のDr. Siegfried Stiemerが"Midply Wall System"の開発者であり、知的所有権を保持している。"Midply Wall System"に関連する記述を行う場合はこれらのことを注釈として記入すること。
3. "Midply Wall System"をさらに発展させる技術開発が推奨される。その場合も以降、"Open Design"の要件が適用される。